先日、SCRAPさんが主催されている脱出ゲームに行ってきました。
SCRAP
http://www.scrapmagazine.com/
脱出ゲームというと、流行してからだいぶ立ちますので、今更?と思われるかもしれません。
前から行きたいと思っていたものの、なかなか一緒に行く仲間も表れず、なんとなくズルズルと今にいたってしまいました。
さて、生まれて初めて脱出ゲームを体験した感想としては
「チープなのにコスパがいい!」
でした。
というのも行われた場所は、立派な商業施設ではなく、雑居ビルの一角。
正直、入るのもためらうようなところです。
なのに味わえる体験は手に汗握る、非常に興奮するものでした。
事前の先入観ではクイズをひたすら解いていくのかと思っていたら、物探しの要素も多く、パズルなどが不得意な人でも充分に楽しめました。
実は、事前に出されていたテスト課題がさっぱり解けず、全く楽しめないのかもと思ったのです。
※もし良かったら下記にチャレンジ!
http://realdgame.jp/conan/challenge.html
しっかり世界観が出来上がっており、セットの中に自分が入り込み、劇を生で体験するような感覚で、今まで体験したことがないエンターテインメントでした。
今回、一緒にいった面々が起業を志しているメンバーだったので、脱出ゲームについて起業ビジネスの面で考察したいと思っています。
今回参加したゲームは大久保に近い、新宿の雑居ビルの中。
おおよそ4年間で参加した人数が35,000人
一人3,000円なので単純計算で1億円近くの売上げを上げています。
年で割ると約2,500万円
8畳くらいの部屋を3部屋借りているようなので、家賃が30万円くらいと推察。年間で360万円。
運営スタッフ(アルバイト)が4名で人件費を単純計算で1,200万円
雑費はかかっても月10万円と計算して120万円
年間の損益として
売上げ2,500万円-コスト1,680万円
ここまでで、充分利益が出ます。
約4年間、同じゲームが行われているようなので、最初の設備投資で後は追加の費用がかからず。それほど豪華な作りではないので、見た感じかかっても数百万円の投資で収まっている気がします。ゲーム途中である乗り物にのるんですが、ただのロープを乗り物に見立てていましたので、非常に低コストにおさえています。
問題はマーケティング費でしょうか。ゲームの性質上、口コミでの集客が可能なので一度軌道にのってしまえば、あまりマーケティング費をかけずに集客できそうですが、最初は満杯にするために、毎月数十万円はかけていたかもしれません。
起業をして数名の会社で運営するレベルであれば、充分食べていけそうです。
私が感心したのは、さきほども書いた通り、高校の学祭レベルといったチープな内装で(主催者に失礼ですね(^^))大人がしっかり楽しめるコンテンツを提供できていたということです。
つまり、体験型アトラクションなのにお金をかけず低コストでサービス提供できるということです。
低コストでサービス開始できるということは、これから起業を考える人にとっては重要なポイントになります。
利益を得られるキャッシュポイントが早まりますので、リスクを低く抑えられます。
ちゃんとした設備やサービスにしないと、顧客を獲得できないのではないかと思い込んでいる方にとっては、ぜひ一度体験して欲しいです。
このレベルでしっかり稼げるといういい事例です。
さて、脱出ゲームのビジネスとしての問題はリピート率です。
今回の脱出ゲームでは、一度体験した人は、ネタバレしてしまうので、2回目の参加が禁止になっています。
私達は1時間かけて、結局あと一歩のところで解決できませんでした。ただ、答えを知っているとわずか3分で終わってしまいます。
劇の場合では、ストーリーが分かっていても再度観に行って楽しむということができます。
テレビゲームやボードゲームも、同じゲームを何度もプレイすることができます。
劇団四季のキャッツが何十年もロングラン公演できているのは、リピーター顧客のおかげです。私も何回も観に行きました。
ところが、この脱出ゲームは一度楽しんでしまうと、二度と楽しめないという問題点があるわけです。
ビジネスの観点でいえば、リピーター顧客はマーケティング費をかけずに獲得できる顧客なので、優良顧客です。それがNGということは、ビジネスの成長としての限界が出てしまいます。
ビジネスとして成長させるためには、ひたすら新しい設備(コンテンツ)を追加で作っていかなくてはいけないわけです。
ゲームフィケーションとも言われている、ゲームの中毒性は
失敗して悔しい!→次はこうしたら上手くいくはず→再チャレンジ!
という失敗と学習のサイクルで成り立っています。
脱出ゲームはゲームと名がつくものの、この要素を入れられていないところがもったいないなぁと思いました。
ディズニーランドのように設備にお金をかければ、毎回違った演出を体験することができ、もっとゲーム性が強くリピーター率を望めるアトラクションは可能かもしれません。
でもそれをやってしまうと、低コストでできるという利点が失われてしまいます。
というわけで、設備などにお金をかけずにどうやってリピート客を生めるコンテンツにすることができるか考えてみました。
一案:デジタル(画面)を使ってシナリオ分岐を増やす
タブレットなどを使えば、安価に演出の幅を広げられるはずです。一番単純ですが、これだとテレビゲームとの違いが分からなくなってしまうかもしれません。
二案:脱出しない脱出ゲーム
脱出ゲームは脱出に成功すると30分程度で終わってしまうこともあります。これを、1時間、閉じ込められた部屋で必ず過ごすという演出に変えたらどうでしょうか。
とじ込められた部屋にスタッフ役の演者を配置し、インプロという即興劇の手法を導入することにより、顧客とのやり取りでコンテンツが進んでいくイメージです。舞台がない演劇のようなものですね。若手劇薬者にとっても新しい収入源となるようなビジネスモデルにできるかもしれません。
三案:クイズに頼らないシナリオにする
コンピューターゲームでは、乱数というランダムに出る数字の要素を使ってゲームに偶然性を入れてプレイヤーを楽しませます。
どの数字が出るか分からない、サイコロの目のようなものです。
たとえば、脱出ゲームにも参加メンバーの人数や属性の違いによってシナリオが変化するなど、乱数要素を用意しておくとリピーターのプレイヤーも楽しめそうです。
さて、皆さんだったらどういったアイデアを思いつくでしょうか。
いいアイデアやシナリオ、世界観を作ることができれば、高い技術力や高い金額をかけなくても、顧客を満足させられるコンテンツを作れるという観点で、脱出ゲームは非常に面白いビジネスモデルだと思いました。
まず起業したいと思われる方は、脱出ゲームに参加してご自身のビジネスアイデアのヒントを得るのもいいかもしれません。