「会社は創業者に似る」という言葉があります。ベンチャーのうちは、創業者の個人的な問題がしばしば会社にも投影されてしまいます。そのため、名経営者と呼ばれている人は必ずといっていいほど自己啓発が上手です。今回は、経営者の名言から、起業家の自己啓発に役立ちそうなものを厳選して集めてみました。
1、「有限実行でことにあたる」(京セラ、創業者:稲盛和夫)
稲盛和夫氏が自身の会社のために書いた京セラフィロソフィーは、今や企業経営のバイブルともいえる書となっています。フィロソフィーの一つとして、稲盛氏が書いているのが上の言葉です。会社経営を行っていく上で、重要なのは何よりも“結果”です。普通の人であれば、「不言実行」で事にあたり、自らのプレッシャーを出来る限り、取り除く事を考えるかもしれません。しかし、稲盛和夫氏は『京セラフィロソフィー』の中で「不言実行」に対して理解を示しつつも、否定をしています。
かつて孫正義氏は、会社にアルバイトが二人しか居なかった頃から、「豆腐屋のように、「1兆(丁)、2兆」と売上を数えるようなビジネスをやる。」ということを言い続けました。そして現在、それが現実のものとなっています。ベンチャー企業を立ち上げるのならば、人には不可能と言われるような事を成し遂げると宣言し、自分にプレッシャーをかけていくぐらいの気概が必要なのかもしれませんね。
2「成功に秘訣というものがあれば、それは他人の立場を理解し、自分の立場からも物事を見られる能力である。」(フォード・モーター、創業者:ヘンリー・フォード)
どんな起業家であっても、多くの人と関わり合いを持って、多くの人の協力がなければ、事業を成功に導くことは出来ません。最も起業家にとって悩ましい問題であるともいえるのが、人間関係や人とのコミュニケーション。
創業者だからといって、エゴイスティックに振る舞っていては誰もついて来てくれない事は目に見えています。やはり、起業家にも相手の立場にたって考えるという姿勢は、求められます。それは、関係者や社内の人間とコミュニケーションをとる時だけでなく、自身の企業の顧客と対峙する時にも必要な姿勢です。
3「失敗したからって何なのだ?失敗から学びを得て、また挑戦すればいいじゃないか。」(ウォルトディズニー社、創業者:ウォルトディズニー)
起業に失敗はつきものです。いちいち、失敗を気にしていたら、ベンチャー企業は立ち行かなくなってしまいます。失敗を事実として受け取り、そこから学ぶ姿勢は起業家にとって必須の条件であるといえるでしょう。
4「最初にあったのは夢と、そして根拠のない自信だけ。そこからすべてがはじまった。」(ソフトバンク社、創業者:孫正義)
一部の例外を除いて、起業当時の企業には本当に何もありません。人もいなければ、お金もない。そんな状況の中で信じられるのは、自分の夢や情熱だけです。ベンチャーの性質上、ほぼ何も無いところからスタートするのは当たり前。それを乗り越えられるだけの自信を持ち続けられるかどうかが起業家として成功できるか否かの一つの基準となっているといえるでしょう。
5「自分には必ずいいところがあると信じて、どんな境遇でもやっていくことが大切です。」(ファーストリテイリング社、会長:柳井正)
ユニクロを世界的な企業にまで育て上げた柳井氏。一方で、「自分が自分に対しての最大の批判者です。」とも話しています。この2つの言葉は、柳井氏が上手に自分をコントロールする能力に長けている事を示しているといえます。
どんな境遇でも自分を信じる強さを持ちつつも、自分を甘やかさない、現状に満足しないバランス感覚が重要です。起業家であれば、人にリーダーシップを発揮する前に、まずは自分自身にリーダーシップを発揮できなければなりません。
6「日本一になるなどと思うな。世界一になるんだ。」(ホンダ、創業者:本田宗一郎)
高い目標を掲げ、自らを成長させていく事は、起業家であれば誰しもが行うべきことです。大企業の成り立ちを見ていると、創業者のそうした姿勢に他の人が刺激を受け、企業が大きくなっている例が多く見られます。高い目標を掲げる事は、それを達成出来なかった際に批判を浴びるなどのリスクを背負うことになります。しかし、そうしたリスクを背負うことも出来ない人に企業経営が務まるはずがありません。
日本を代表する大経営者、稲盛和夫氏も「集団、それはリーダーの人間性を映す鏡」という言葉で、経営者と企業の関係を言い表しています。起業をすれば、様々な困難にぶち当たります。そのときに目の前に現れた壁を乗り越えられるかどうかは、あなた自身のマインドセットにかかっています。夢と情熱を大切に、上手に自分をコントロールする術を身につけていきたいですね。