起業にあたって、会社を最初に作る必要はない

MP900387637一口に起業といっても、いきなり最初から会社設立する必要はありません。特に一人程度でできるビジネスを考えている場合、会社設立を選んだらよいか、個人事業主としてビジネスをするか、悩まれる方が多いと思います。法人・個人事業主には、それぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身の将来の展望に合わせて決める必要があります。

昔は、最低資本金として有限会社で300万円、株式会社で1,000万円という縛りがありました。従って会社設立そのもののハードルが高く、そもそもお金がなければ会社設立などできませんので、こういったことで悩むことはほとんどありませんでした。

しかし、現在は資本金1円からでも会社設立ができます。設立費用として、諸経費が25万円程度はかかりますが、かなり会社設立が簡単になったことは事実です。まずは、これらの経費を払ってでも会社設立をするかどうかということがポイントになります。

法人化のメリットは、「リスク分散できること」と「社会的信用力が高いこと」です。また、税制面で有利な点はありますが、そもそも税金の心配をしなくてはいけないほど、大もうけできるような見込みがあるのであれば、設立にかかる経費を払うべきかは問題にならないでしょうから、ここでは割愛します。

まず、「リスク分散」について説明しましょう。個人事業主と法人との最も大きな違いは、事業に対しての責任範囲です。法人の場合には、有限責任といって、出資した範囲でしか法人は責任とる必要がありません。個人事業主は無限責任といって、事業で起きる事象に対してどこまでも責任を取らなくてはいけません。

ビジネスが大きくなると、事業運営にかかわるリスクも大きくなります。何かのきっかけで、事故や事件に巻き込まれたとき、扱っている額に比例してそのダメージも大きくなるのです。例えば、自分自身が不正な行為をしなくても、雇った社員がビジネス上で不正をした場合には事業主はその責任を取らなくてはいけません。どのような場合でも個人事業主であれば、ビジネスで起きた損害をすべて個人で責任をとらなくてはいけないのです。一方、法人の場合には、会社として責任をとりますので、経営している個人にまですべての責任を求められるわけではありません。

ここでポイントになるのは、個人では責任をおえないほど大きなビジネスになっているのであれば、法人化にしてリスク分散をすれば良いのですが、そこまで大きくなっていないのであれば、個人事業主でも充分にビジネスはできるということです。

次に「社会的信用力」についてですが、これは法人の方が圧倒的に有利です。例えば、あなたがオンラインで何か商品を買おうと思ったとき、相手が個人と法人とでは、間違いなく法人になっている方が安心して買い物ができると思いませんか?法人の方が「仕事の契約がしやすい」「資金調達がしやすい」など様々な信用上のメリットがあります。

更に、日本では会社設立期間が長ければ、長いほど社会的信用が増します。同じビジネスを10年続けていた場合、「個人事業主で9年+法人期間1年」の会社Aと、「個人事業主で2年+法人期間8年」の会社Bでは、同じビジネスを同期間しているにもかかわらず、法人期間が長い後者の会社の方が圧倒的に社会的信用力は高くなるのです。

ただし、法人の場合には決算書という成績表を毎年出さなくてはいけません。決算書には、その会社が黒字なのか赤字なのか隠し事をせずに全て記載する必要があります。つまり、売上げの見込みがない状態で会社を設立し、赤字が大きくなってしまうような場合には、悪い成績表が残り続けてしまうのです。銀行などは、この成績表をみて融資を決めますので、後々の資金調達に影響を与えることがあります。

さらに、法人にすると、毎年事業税というたとえ赤字であっても支払わなくてはいけない税金が発生します。金額は最低でも7万円程度(2013年8月現在、東京の場合)となっており、赤字の場合には年に1回とはいえ、それなりの負担となります。

では、ポイントごとに両者を比較してみましょう。

<仕事のとり方(請負か新規)>

–       もし請負が中心の業務で、特に新規の顧客を獲得する必要がないのであれば、社会的信用はそれほど重要視されませんので、個人事業主でも問題ないでしょう。

–       BtoB,BtoCに関係なく、新規の顧客を取り続ける必要があれば法人がおすすめです。

–       まだ顧客がいるかどうかも分からない状態であれば、会社である必要はないでしょう。

<事業規模>

–         一人でできる範囲を超えて、何人ものスタッフを使わないと仕事をまわせなくなるようであれば、法人を考えたほうがよいでしょう。

–         ご自身と手伝いのアルバイト、一人が二人程度であれば、仕事のすべてについて把握できますし、個人事業主でも問題ありません。

<資金調達が必要かどうか>

–  会社の一番のメリットは株を発行し、外部からの資金調達ができることです。個人の預貯金に関係無く資金調達ができますので、大きなビジネス、リスクが大きいビジネスを実現することができます。

–  個人事業主でも融資を受けることは可能ですが、個人の所得をベースに計算されますので、100万円以上となると、審査が厳しくなるものと考えてください。

両者を比較してご自身の事業展開に合うかを考えてください。私自身は2年間個人事業主をして、その後、法人化しました。法人化したきっかけは、新規ビジネスにおいて大企業と契約を結ぶ際に、個人事業主のままだとNGだったからです。つまり、相手先企業にとって個人事業主では信用度が低く、同じサービスを提供をするのにもかかわらず、法人格を求められたのです。

起業時点で必ずどちらかに決定しておく必要はありません。一旦会社設立をすると、簡単に会社をたためないなど、後戻りが大変です。どちらかで悩まれているのであれば、まずは個人事業主として始めて、どのような会社にしたいのか明確になった段階で法人化すればよいでしょう。


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